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執筆者の写真司法書士あんしん相続

【コラム】遺言はもう自宅で保管しなくてもいい!?自筆証書遺言保管制度を解説!

更新日:2021年7月7日


 

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【目次】





 
制度の概要

令和2年7月から、自筆証書遺言保管制度が始まっています。

この制度は、文字通り「自筆で作成した遺言書を法務局で保管してもらえる制度」になります。

これにより、今までの自筆証書遺言のネックであった遺言書の紛失や相続人による意図的な廃棄を防ぐことができるようになりました。ちなみに法務局では、公正証書遺言の保管は行っていません。公正証書遺言は作成の時点で公証役場に原本が保管されるため対象外となっています。


それでは、制度の説明に入りたいと思います。

いくつか手続きの種類がありますが、本記事では主に「遺言者が遺言書を預け」、「相続人が遺言者の死後に遺言書の証明書を取得する」手続きを説明します。

 
遺言者が遺言書を預ける
保管の申請の流れ
法務省パンフレット『自筆証書遺言書保管制度のご案内』より

1.自筆証書遺言を作成する

まずは預ける遺言書を作成するところから始まります。本記事では説明を省きますが、自筆証書遺言には一定の形式に従って作成する必要がありますのでしっかりと下調べをして下さい。なお法務省のホームページで基本的な注意事項の解説がされています。

 

【参考リンク】

法務省:06:自筆証書遺言書の様式について

 

2.遺言を保管してもらう法務局を決める

遺言者の「住所地」「本籍地」「所有する不動産の所在地」のどれか一つでも該当する場所を管轄している法務局に遺言書の保管の申請をすることができます。法務局の管轄は参考リンクからご確認ください。例として、岐阜地方法務局本局の管轄は以下のようになっています。

≪岐阜市、羽島市、各務原市、山県市、瑞穂市、本巣市、羽島郡、本巣郡≫

 

【参考リンク】

法務省:09:自筆証書遺言書保管制度の手数料一覧・遺言書保管所一覧・遺言書保管所管轄一覧

(リンク内下部のPDFから管轄の詳細が確認できます)

 

3.申請書を作成する

遺言書の保管申請書
遺言書の保管申請書(記載例)

次は、法務局に提出する申請書を作成します。下の参考リンクから申請書の様式をダウンロードすることができます。記入例を確認すれば特に迷うところはないと思いますが、死亡時に通知が行く方を指定する欄はよく考えて記入して下さい。遺言執行者または主に財産を受け取る方など、確実に遺言を実現してくれる方を指定するのが無難でしょう。最後に収入印紙(3,900円)を貼り付ける欄がありますが、これは法務局や郵便局の窓口で購入することができます。

 

【参考リンク】

法務省:05:自筆証書遺言書保管制度で使用する申請書等

 

4.保管の申請の予約をする


予約はインターネット上の専用サイト、電話または法務局窓口で行うことができます。法務省の説明によると、「予約日の前々業務日の午前中まで」予約が可能です。言い換えると3営業日後から好きな時間を指定して予約可能ということですね。予約する時点で当日の必要書類も準備しておきましょう。


【当日の必要書類】

  1. 遺言書

  2. 申請書

  3. 収入印紙(3,900円)

  4. 住民票の写し(遺言者の本籍及び筆頭者の記載のあるもの)

  5. 本人確認書類(個人番号カードや運転免許証等)

住民票の写しの返却を希望する場合には、コピーして「原本に相違ない」旨を記載し記名押印したものを一緒に用意してください。


岐阜地方法務局が予約の流れを丁寧に説明してくれていますので、下の参考リンクからチェックしておくことをお勧めします。

 

【参考リンク】

岐阜地方法務局自筆証書遺言書保管サイト:岐阜地方法務局


【法務局手続案内予約サービス】ポータル

 

5.保管の申請をする

予約した時間に選んだ保管場所の法務局まで行き、必要書類を提出します。1時間ごとの予約となっているので、当日の所要時間も30分程度で済むでしょう。



6.保管証を受け取る

手続きは即日で完了し、最後に保管証を受け取ることができます。保管証には保管番号が記載されており、遺言書の変更の届け出、保管の撤回、相続人からの閲覧請求の際に必要となります。分からなくても手続き自体は可能ですが、できればきちんと保存しておきましょう。

保管証イメージ
保管証イメージ


 
相続人が遺言書を内容の証明書を取得する(証明書の請求)
遺言書情報証明書の交付の請求の流れ
法務省パンフレット『自筆証書遺言書保管制度のご案内』より

1.交付の請求をする遺言書保管所を決める

遺言者の死亡後、相続人や遺言執行者から遺言内容の証明書の受け取りを請求することができます。原本ではないため、全国どこの法務局に請求しても構いません。なお、「遺言書保管事実証明書」の請求という手続きもあり、こちらは遺言が法務局に保管されているかどうかを誰でも確認できる手続きとなっています。


2.請求書を作成する

次は、法務局に提出する申請書を作成します。下の参考リンクから申請書の様式をダウンロードすることができます。「遺言書が保管されている遺言書保管所の名称」「請求対象の遺言書の保管番号」欄は、遺言者が保管の申請時に受け取った「保管証」から確認することができます。見つからない場合は空欄にしておきましょう。

 

【参考リンク】

法務省:05:自筆証書遺言書保管制度で使用する申請書等

 

3.交付の請求の予約をする

予約はインターネット上の専用サイト、電話または法務局窓口で行うことができます。法務省の説明によると、「予約日の前々業務日の午前中まで」予約が可能です。言い換えると3営業日後から好きな時間を指定して予約可能ということですね。予約する時点で必要書類も準備しておきましょう。


【相続人から申請する場合の必要書類】

  1. 遺言者の出生から死亡までの戸籍(除籍、原戸籍)謄本

  2. 相続人全員の戸籍謄本

  3. 相続人全員の住民票の写し(交付から3か月以内のもの)

  4. 収入印紙(1,400円)


資料によれば郵送請求も可能ですが、詳細の記載がないため、送付先の担当部署や返信用の切手代など、電話で一度確認することをお勧めします。



4.交付の請求をする

交付は「法務局窓口での受け取り」か「請求者の住所宛てに郵送」を選択できます。窓口受け取りの場合、本人確認書類(個人番号カードや運転免許証等)の提示が必要となります。


5.証明書を受け取る

遺言書情報証明書イメージ
遺言書情報証明書イメージ
遺言書情報証明書イメージ

証明書には遺言者、受遺者、遺言執行者等のデータと遺言書の画像データが記載されています。あくまで内容の証明書ですから、原本は法務局に引き続き保管されることになります。また、証明書の交付がされると、他の相続人に対して法務局に遺言書が保管されている旨が通知されます。証明書は家庭裁判所の検認が不要で、そのまま相続手続きに使用することができます。この制度の大きなメリットですね。


 
まとめと雑感

本記事では、自筆証書遺言保管制度について説明しました。

民法改正により財産目録を自筆で作成する必要が無くなったことも併せて、自筆証書遺言を利用するハードルはかなり下がってきたように感じます。ただ、遺言書の形式と内容について専門家のチェックが入らない点には変わりがありません。「どのようにして最後の意思を実現するか?」という問題には、専門家でも簡単に答えを出すことはできません。遺言を書くこと以外にも様々な財産承継の手段があります。「自分で遺言を書きたい!」と考えている方も、一度は専門家に相談してみてくださいね。

 

【参考リンク】

e-gov : 法務局における遺言書の保管等に関する法律


法務省:法務局における自筆証書遺言書保管制度について


 

【記事を書いた人】司法書士 岩田慎也

1991年、岐阜市生まれ。県立岐阜高校、名古屋大学経済学部を卒業。22歳で司法書士試験に合格。

愛知県の司法書士事務所に約3年間勤め、毎日お客様からの相続・遺言相談に対応。

2020年、岐阜市花園町で司法書士あんしん相続を開業。

 

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電話での予約は 058-227-6994 まで。















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